アニメの聖地となった町の宿がアニメファンを迎えるということ
『ガールズ&パンツァー』というアニメで女子高生同士の壮絶な戦車戦が行われた舞台としてアニメファンの間で注目の的となった茨城県大洗町。アニメ放送開始から1年が経ち聖地巡礼の最新トレンドともいえるこの町では、現在町ぐるみで様々なイベントを催して多くのガルパンファンを迎え入れています。
その大洗から車で10分程度の距離にある鉾田市の民宿兼旅館の旅館くるみ屋さん。夏は漁港に水揚げされた新鮮な海の幸、さらに冬場にはあんこう鍋をおなか一杯楽しむことができ、また、家族経営のため非常に細やかなサービスを提供されています。
作中に登場するねこにゃー(アリクイさんチーム所属)の出身地が鉾田市ということにちなんで、『ガールズ&パンツァー応援企画ねこにゃー出身の鉾田へ』というプランを設けており、こちらのプランを利用することで大洗女子学園タオル、あんこうチームメンバーの缶バッチ(5名のうちどれか1つ)、そしてねこにゃーのイラストを使用したくるみ屋限定ポストカード(いずれもGPP公認、非売品)がもらえます。
今回はそんな旅館くるみ屋さんで、大洗の宿泊施設とガルパンの関係についてお話を伺ってきました。
Q.ガルパンという作品を初めて耳にされたのはいつごろでしょうか?
ガルパンの制作が発表される前に、大洗の観光協会で集まった際に「大洗を舞台にするアニメが作られるらしいよ」という話を聞いてはいました。もちろんその段階で詳しい事は出せないので、実際に目にしたのは本放送が始まってからになります。アニメの方も全話リアルタイムで観ましたけど、やはり見知った地元が作品の舞台になるっていうのは嬉しいですよね。 ガルパンの宿泊プランについてはアニメ放送の終盤あたりで設定しました。アニメにも登場した肴屋本店さん(本編4話で戦車に突っ込まれた旅館)が制作段階から絡んでいた関係でバンダイビジュアルさんとのパイプ役となっていましたので、まずは肴屋本店さんが色々なプランを立ち上げて、それから他の宿が情報を貰い、アイデアを出しあって今回のプランを作りました。
Q.旅館で配布されているグッズについて聞かせていただけますか?
こちらのグッズについても大洗全体で盛り上げていきたいということでバンダイビジュアルさんから許諾を取った上で制作しています。タオルについては山戸呉服店さんにお願いして宿用の物をまとめて作ってもらい、こちらのねこにゃーポストカードで他の宿泊施設との差別化を図っています。 キャラクターグッズを作るというのは初めての経験で、アニメのイメージを損なうことなく、かつ、お客様に喜んで貰うためにどこまで意外性を持たせることが出来るかを考えるのは難しくも楽しい作業でした。たとえばこのポストカードの下に描かれた戦車のシルエットですが、実はコレねこにゃーの乗っている戦車をデザインしてあるんです。すごく細かいところですけど、戦車に詳しい人が見ると気付いてくれたりするんですよ。
Q.最後に聖地巡礼でやってくる人たちについてお聞かせください。
来てくださるお客様が、作品のファンであるだけでなく、『大洗』のファンとして来てくれているということを強く感じました。大洗という地域に対する愛着を持って来てくださるお客様に、地域の情報ですとか、喜んで貰えそうなものがあればできるかぎり提供していきたいと考えています。例えば、食堂に掲示してある特別住民票(期間限定で発行することが出来たもの。現在はサービス終了)についても多めに手持ちがあったので、お話ししていてどうしてもとご希望のお客様に原価でお譲りしたこともあります。実はガルパン関係のお客様はたくさん食べる方が多いので、あんこう鍋も普通のお客様よりも多めにしてるんですよ。お客様それぞれ求めているモノが違いますので、夫婦二人で目の届く範囲で細やかなサービスを心掛けています。 観光に限らず、これは大洗の人間性だと思うんですが強引に引っ張り込んでいかない。ありのままを楽しんでもらえたらそれで満足というおっとりとした気質が、聖地巡礼にやってくるお客様とあっているのではないでしょうか。リラックスして自由に大洗を楽しんで頂けたら嬉しいです。
今回、お話を聞かせていただいて印象深かった点は、大洗の観光・宿泊業に携わる皆さんが、地域全体で協力することによって『ガルパンの大洗』という包括的なイメージを作り上げているところでした。旅館それぞれがバラバラに企画を立てるのではなく、ある程度の共通認識を持ったうえで旅館ごとに異なるサービスを作り上げる。これがガルパンファンに一夜の宿を吟味する楽しみを与えてくれているのだと思います。
【旅館・民宿 くるみ屋】
茨城県鉾田市造谷605-61
○水戸大洗IC鹿嶋方面15分旭総合支所入口信号右折1.5km
○大洗鹿島線鹿島旭駅下車・送迎5分